自己組織化単分子膜を重合開始種とした表面開始重合法
出典: finemems
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表面開始重合法とは、あらかじめ基板表面に重合開始種を固定し、その後高分子の重合を行うことで高分子薄膜を形成する方法である。(図1)
この高分子膜は、高分子鎖の片末端が基板表面へ固定化された構造を持ち、一般的に「ポリマーブラシ」と呼ばれる。
この成膜法は、基板との密着性が良好な高分子薄膜の成膜、および重合時間や原料の量を調整することによる膜厚制御を実現する。
特にリビングラジカル重合と呼ばれる合成法を用いることで、高分子の平均分子量の精密制御が可能となる。
また、合成する高分子の種類によって、濡れ性や耐摩耗性、電気的特性といった基板表面物性を任意に改善することができる。
重合開始種の固定法には、自己組織化単分子膜(Self-assembled monolayer:SAM)を用いる方法が報告されている。 金、銀、銅、白金など金属表面へのSAM形成には、チオール(R-SH)分子あるいはジスルフィド(RS-SR)が、 酸化シリコン、酸化チタン、ガラス、ITOなどの酸化物表面へのSAM形成には、有機シランによるシランカップリング反応が一般的に用いられる。 あらかじめSAMをパターニングしてから高分子を重合することで、選択的高分子成膜が可能となる。
以下に、ポリアニリンの金表面への表面開始重合法について記す。
対象材料
高分子膜:ポリアニリン
SAM:4-アミノチオフェノール
装置
特に無し
条件
重合開始種は4-アミノチオフェノールを用いた。このSAMを形成することで金表面に均一に重合開始種を固定する。その後重合することでポリアニリン薄膜を作製した。(図2)
1. 研磨したSi基板にCr/Au(10nm/200nm)をスパッタした。
2. 1の基板を4-アミノチオフェノールのメタノール溶液(濃度800uM)に24時間浸漬させ、その後メタノール溶液で洗浄し、乾燥させた。
3. HCl溶液(濃度1M)に基板を浸漬し、アニリン7gとペルオキソ二硫酸アンモニウム12gを加えてポリアニリンの重合を8時間行った。溶液の温度は常に0度以下に保持した。
4. 基板を取り出して濃アンモニア水に5分間浸漬させ、その後、超音波洗浄槽を用いてN-メチル-2-ピロリジノンで24時間基板を洗浄した。この操作によって金表面と結合したポリアニリンのみを残し、物理的に吸着したポリアニリンを取り除いた。
5. エタノールで2回洗浄し、乾燥させた。紫外分光エリプソメータでの測定した結果、ポリアニリン薄膜の膜厚は70Åであった。
6. 原子間力顕微鏡を用いてポリアニリン薄膜表面のトポグラフィ像を測定し、表面形状の観察を行った(図3)。図の暗い部分は、高さの低い箇所を示している。トポグラフィ像でポリアニリン薄膜のグレインが観察された。ポリアニリンの凝集作用によって高分子鎖がお互い集まり、絡み合っていることが原因と考えられる。
禁則事項
留意事項
文献情報,参考文献
S. Yoshida,et al., "Reversible electrical modification on conductive polymer for proximity probe data storage", Nanotechnology, vol.16 (2005) 2516–2520
