真空紫外(VUV)光による酸化膜表面の照射損傷

出典: finemems

←この記事が参考になった方はボタンを押して投票して下さい。

目次

項目の説明 【必須】



高密度プラズマから生成された真空紫外(Vacuum Ultraviolet; VUV)光によりSiO2表面に誘起されるダメージに関する論文を紹介する。

ECR(electron cyclotron resonance)プラズマ、ヘリコンプラズマなどの高密度プラズマを用いたエッチングでは、異方性や選択性が向上するものの、プラズマにより生成されるVUV光が固体表面にダメージを与えるという問題がある。本論文では、プラズマにより生成される荷電粒子やラジカルとVUV光を分離可能な装置を構築し、SiO2表面にVUV光のみを照射して光損傷効果を評価解析している。
(UV光照射により生成される欠陥については、「紫外光照射による合成石英の欠陥生成」の項参照)


図1にUV光の波長とSiO2への侵入深さの関係を示す。波長20nmから120nmの範囲では、表面40nmの領域で効果的に光が吸収されることが分かる。この領域でフォトンのエネルギーは、SiO2ネットワークに移動し、ネットワークを無秩序化することにより損傷を与える。

本論文では、VUV光生成のプラズマ原料ガスとして、He、Ar、Kr、Xeを用いている。
図2は、それぞれのガスから生成したプラズマからの発光スペクトルを示す。Heでは、60nm以下の波長領域に強いスペクトル線がある。ArとKrでは、70nm以上の波長域にスペクトル線があり、Xeでは100nm以下に発光はない。

図3にこれは4種のガスを用いたECRプラズマからのVUV光を照射したSiO2を希釈HFによりエッチングした結果を示す。ダメージを受けたSiO2の表面は、エッチングが速いことが分かる。この結果からまとめた各ガスに対するダメージ層の深さは、下記の通りである。

  • He:1.5nm
  • Ar:0.7nm
  • Kr:0.6nm
  • Xe:0.4nm

図2で示した通り、60nmから120nmの波長域では侵入深さは10nm程度であるが、60nm以下の短波長域(即ち高エネルギー域)では、10nm以上の深さに侵入する。それ故、60nm以下のHeからの高エネルギーのVUV光は、他のガス種に比してダメージを誘起し易い。KrやXeの120nmから140nm域の発光はSiO2のネットワークに吸収され易いが、これらのスペクトル線は、エネルギーが低すぎるため与えるダメージが低い。

なお、この論文では、ECRプラズマとヘリコンプラズマから生成されるVUVの効果の差異も調べているが、よりプラズマ密度が高いヘリコンプラズマの方がSiO2に与えるダメージが大きいことが示されている。

対象材料

SiO2

装置

ECRプラズマエッチング装置、ヘリコンプラズマエッチング装置

条件

ECRプラズマ:ガス流量50sccm、真空度1.0Pa、基板温度 室温、照射時間 30秒
ヘリコンプラズマ:ガス流量45sccm、真空度0.3Pa、温度・時間は上に同じ
HFエッチング:1%HF溶液

禁則事項

留意事項

文献情報,参考文献

【引用文献】
Tetsuya TATSUMI, Seiichi FUKUDA and Shingo KADOMURA, "Radiation Damage of SiO2 Surface Induced by Vacuum Ultraviolet Photons of High-Density Plasma", Jpn. J. Appl. Phys. Vol.33(1994) pp.2175-2178.

コメント

←この記事が参考になった方はボタンを押して投票して下さい。


運営
(財)マイクロマシンセンター