フェムト秒パルスによる非熱的加工
出典: finemems
目次 |
項目の説明 【必須】
パルスレーザーにより物質を融点を越える温度に加熱すると蒸発が起り、加熱部が除去され“アブレーション”が起こる。フェムト秒レーザーはいくつかの点でナノ秒レーザーとは異なるアブレーション過程を示す。レーザー光は電磁波であるために、そのエネルギーはまず物質中の電子に与えられる。エネルギーを受けた電子が周囲の原子と衝突を繰り返して物質の温度が上昇する。電子は瞬時に熱平衡状態になるが、周囲の原子や格子へのエネルギーの移乗には時間がかかり電子と原子(格子)の間で非熱平衡状態が生じる。時間が経てば、全体が熱平衡状態となって溶融、蒸発に至る。アブレーション過程は、ピコ秒の時間スケールを境に熱的過程と非熱的過程に区分される。ピコ秒よりも長いパルス幅のレーザーが物質に照射された場合、物質中の電子と格子イオンは平衡状態にありともに同じ温度経過を示し熱的過程となる。一方、ピコ秒よりも短いパルス幅のレーザーでは, 電子温度が格子イオン温度よりも十分に高い非平衡状態(2温度分布)を経て、レーザーが照射後に格子イオンの加熱が始まる非熱的過程となる。非熱的過程では、アブレーションによる熱影響部を小さくできる。
図1に金属チタンに10ナノ秒のレーザーと100フェムト秒のレーザーを集光照射して穴開け加工を行った例を示す。10ナノ秒のレーザー照射の場合、物質が溶け、プラズマ化した状態でもなおレーザー照射が続くため周囲に溶融領域が形成される。一方、フェムト秒レーザーを物質に照射した場合には、周囲に熱が伝わる前にエネルギー吸収が終わってしまい、レーザー光とプラズマとの相互作用は発生しない。熱変性領域が無視できる“切れ味の鋭い”加工が実現する。
対象材料
装置
条件
禁則事項
留意事項
文献情報,参考文献
井澤友策,藤田雅之:フェムト秒レーザーを用いた半導体微細加工,オプトロニクス,No.4,(2006)pp.181-184.
