ITO電極を用いた光学的に透明なフレキシブルグルコースセンサー

出典: BeansCM

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健康医療応用デバイス 大きさ 個体(全身)
健康医療応用デバイス 応用分野 治療
健康医療応用デバイス 原理 化学(電気化学、蛍光、pH)
健康医療応用デバイス 対象 血液


目次

項目の説明 【必須】

グルコースセンサーは酸素電極の感度領域上にグルコースオキシダーゼとグルタールアルデヒド溶液を固定することによって作製される。酸素電極は金属溶接可能なフィルムと銀/塩化銀電極でコーティングされたガス透過性膜と塩化カリウム電解質溶液とともにインジウムスズ酸化物電極が含まれている。  涙、軌道粘液、汗、唾液のような体液は体の状態に深く関わり、これらの液体の化学物質濃度の変動は病気の指標に使われる。特に涙に含まれるグルコース濃度は糖尿病の指標に役立つ。一般的に生物学的液体を直接的に分析することは困難である。本論文では微細加工技術を用いて電極を積層し、数ミリメートルオーダーで電極アレイを作製した。また化学センサーに柔軟性を持たせることによってデバイスを測定部位に直接取り付けることができるようにした。これにより、連続的に生体成分をモニタリングすることが可能となる。今後のグルコースセンサーの展望としてはコンタクトレンズのように目に直接デバイスを取り付けることによって常に涙のグルコース成分をモニタリングでき、糖尿病患者にとっては非侵襲で有用なデバイスとなる。

構造

透明なグルコースセンサーの構造を図1に示す。グルコースセンサーはグルコースオキシダーゼを薄膜の酸素電極の感度領域上に固定させることによって作製される。

酸素電極はポリエチレンテレフタラートが付着したインジウムスズ酸化物フィルム、銀/塩化銀電極のガス透過性の膜、非透過性のポリマー膜の3つの薄膜から成り立つ。銀/塩化銀電極は微細加工技術を用いてガス透過性膜上で作製する。 初めに金属付着のための細長いパターンをポジ型のフォトレジストを用いたフォトリソグラフィーで透過成膜上に電極基板として作製する。次にパターンを形成した膜に銀の層をスパッタリングで付着させる。銀の層が付着した細長い形の電極はアセトンでレジストをエッチングすることによって得られる。蒸留水で洗った後、膜上の銀の層は0.1mmol/lの塩化水素溶液を用いた電気化学的方法によって塩化物にし、ガス透過性の膜上に対極/参照電極としての銀/塩化銀層が得られる。 薄くて透明な酸素センサーはインジウムスズ酸化物フィルムが銀/塩化銀電極であるガス透過性膜と非透過性膜との間に挟まれた構造をしている。0.1mmol/lの塩化カリウムの積層電池の縁は熱封止とエポキシ系の接着剤で固定し、電解槽によってクラーク型の酸素センサーを得る。フィルムのインジウムスズ酸化物側はガス透過性膜が取り付けられており、銀/塩化銀電極が電気的にショートしないように間を空けている。透明なインジウムスズ酸化物層は酸素測定のために透明な作用電極として機能する。 次にグルコースオキシダーゼは酸素の感度領域上に共有結合でグルタールアルデヒドと固定される。グルコースオキシダーゼ10mgとウシの血清アルブミンを含んだリン酸塩緩衝溶液(ph 7.4,20mmol/l)と混合させる。2.5%グルタールアルデヒド溶液12μlを加えるとBSA酵素溶液はフレキシブルな酸素デバイスの感度領域の表面上に広がり、固定するために常温で30分乾かしておく。 より薄型のセンサーは幅8mmの感度領域、リード領域、電気端子領域の3つの領域に広がる。この3つの領域の構造は分離された導線が不要であるため、皮膚のような体の表面に直接つけることができるアプリケーションとして有用である。

特性・性能・評価

 透明な酸素センサーの特性は50mlのリン酸塩緩衝液(pH7.4,20mmol/l)で満たされた測定細胞に25℃で置き換え、バッチ測定で標準化されたグルコース溶液を使って調整する。2つの電極の電気化学的方法は酸素検出のために採用され、それによって作用電極として使用されるインジウムスズ酸化物電極と銀/塩化銀電極は対極として使われる。  より薄型のデバイスはグリップタイプのコネクタによって測定システムにつなげられる。グルコースオキシダーゼの酵素反応によって出力された電流はモニタリングされ、グラフを使ってアナログからデジタルへ変換される。  積層グルコースセンサーの透過性とその構成要素は人間が目に見える200~1100nmの波長範囲で分光光度計を用いて評価される。

 図2に透明なグルコースセンサーの写真を示す。より薄いグルコースセンサー(全厚さ:225μm)よく曲がる柔軟性があり、これは人間の皮膚の表面につけることができ、感度領域において視認できる。

 分光光度法による分析(波長範囲:200~1100nm)の結果(図3)、感度領域における光学的吸収は人間が視認できる波長400~700では0.6より低く、それは構成要素の吸光係数につじつまが合っていた。

 図4はリン酸緩衝液(pH7.4,20mmol/l)で満たされた50.0mlの測定細胞をグルコース溶液に入れたバイオセンサーの典型的な反応を表している。この数値はセンサーの出力は急速に減少していることがわかる。透明なデバイスの反応時間は82秒で最大の90%に達し、これは市販のグルコースセンサーより長い。

 透明なデバイスのセンサーの反応は酸素電極の感度領域上に酵素を共有結合させることによって容易に改良でき、またはインジウムスズ酸化物を変えることによって改良できる。  図5は透明なグルコースセンサーのキャリブレーションされたものである。この図ではセンサーの出力は電流値として表されている。

図5より透明なデバイスの電流出力は0.6~1.24mmol/lの範囲ではグルコースの濃度に応じて線形的に推移しており、回帰分析によって相関係数は0.999と推定され以下の式を得た。 センサー出力(μA)=0.028+0.740[グルコース(mmol/l)]  透明なバイオセンサーの較正範囲は涙の一般的なグルコース濃度(0.14mmol/l)をカバーしており、糖尿病患者の涙のグルコース成分はより高濃度であることがわかっている。  透明なグルコースセンサーの今後の可能性としては、コンタクトレンズのように目に直接デバイスを取り付けることによって、糖尿病患者向けに涙のグルコース成分をモニタリングすることだけでなく、人間の生物学的な液体の化学的構成要素を評価するのにも有用である。

文献情報,参考文献

Optical-transparent and flexible glucose sensor with ITO electrode,Kohji Mitsubayashi , Yoshihiko Wakabayashi, Satoshi Tanimoto, Daisuke Murotomi, Tatsuro Endo

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