表面プラズモンによる発光増強

出典: BeansCM

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環境応用デバイス マイクロエネルギー 環境発電


目次

概要

【論文紹介】

Ag薄膜上に成膜した高分子膜に光照射することにより、Ag薄膜が無いものに対し、11倍の光増強を確認した。

実験

図1に実験に用いたサンプルおよび測定の概要図を示す。 サンプルは石英基板上に銀もしくは金薄膜を真空蒸着にて0.5nm/secで50nm厚成膜し、その上に、高分子薄膜を200nmで成膜することで作製した。 高分子薄膜は、20mM/Lの蛍光発光材料クマリン460溶液(溶媒クロロベンゼン)に、2%のホスト高分子材料ポリメチルメタクリレート(PMMA)を混合することで、高分子溶液を作製し、 基板上にスピンコート成膜することで得た。 測定は高角度側から波長405nmのInGaNレーザーを入射し、クマリン460の光励起発光(フォトルミネッセンス:PL)を基板法線方向から受光することで行った。

図1.サンプル構成および測定概要図

結果・考察

図2に測定結果を示す。金属薄膜が金薄膜である場合、金属が無い場合に比べて発光が2~3倍になっているが、PLスペクトルの形状が同様の形状であり、 単に金薄膜によって背面方向の光が反射されたためと考えられる。 一方、金属薄膜が銀薄膜である場合、金属がない場合に比べ、440nm付近の発光ピークが増強していることが分かる。 この発光増強は金属薄膜が無い場合のピークと異なる波長で生じており、表面プラズモン由来の発光増強であると考えられる。

図3にPL発光の増強割合を示す。 銀薄膜による発光増強は短波長側で顕著に生じており、クマリン460の示すピーク波長の460nmでは11倍の値を示している。 これは非輻射されるはずの表面プラズモンエネルギーが、金属薄膜がもつ微細なラフネスによって散乱され、励起子と結合し電界強度を増強させた結果と考えられる。

図4に本実験で用いたサンプルの分散曲線を示す。 金薄膜と銀薄膜による分散曲線の違いを見ると、銀薄膜のプラズマ周波数がクマリン460nmの波長帯をカバーしており、 このことから、金薄膜ではなく、銀薄膜で大きな光増強効果が得られたと考えられる。


上記の結果から銀薄膜を用いた構造で、高分子薄膜を光励起することにより、プラズモンによる発光増強が得られ、 その増強割合は11倍に達した。 本研究は有機ELなどの金属電極を用いる発光デバイスに応用可能であり、 著者は白色有機ELの効率向上にも応用が可能であると述べている。


文献情報,参考文献

Terrell D. Neal,Koichi Okamoto, and Axel Scherer.Opt.Lett.Vol.13,No.14(2005)

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