有機ELからの表面プラズモンエネルギー取り出し

出典: BeansCM

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環境応用デバイス マイクロエネルギー 環境発電


目次

概要

【論文紹介】

マイクロ構造を付加した基板上に有機ELを作製し、特性を測定することにより、有機EL素子からの発光において、表面プラズモンモード由来の発光が得られた[1]。

実験

図1にマイクロ構造を付加した基板上に作製した有機EL構造を示す。

有機EL素子は100nm厚のITO陽極を成膜したガラス基板上に、低分子発光層Alq3もしくは高分子発光層PPVをそれぞれ100nm成膜することにより得た。

マイクロ構造はフォトレジストをマスクにし、Arイオンエッチングにて、ガラス基板をエッチングすることで作製した。マイクロ構造はピッチ290nmの深さ30nmの構造とした。

図1.マイクロ構造を付加した有機EL素子の構造概要図


結果・考察

図2に有機層における表面プラズモンによる励起子放射からのエネルギー損失係数を示す。

同図はFordとWeberが用いた選択的な積分球測定法[2]を用いて、表面プラズモンによる励起子放射からのエネルギー損失係数を測定した。

図2から、低分子材料を用いて作製した有機ELは高分子材料を用いて作製した有機ELよりも表面プラズモンの影響が大きいことが分かる

これは、表面プラズモンモードの影響が最も少ない条件が、ダイポールモーメントが基板に対して横に寝た形で並ぶことであるのに対し、

高分子材料は低分子材料よりも、ダイポールモーメントが基板に対して横に寝た形で並ぶためと考えられる。

また、本結果からAlq3に配向性が小さいことも示唆される。

さらに、表面プラズモンの影響は金属界面ではなく、金属界面から20~30nm程度離れた位置で最も影響が強くなることも分かる。


図3にAlq3を用いた有機EL素子におけるマイクロ構造有無におけるTMモード、TEモード毎のELスペクトルを示す。

図3(a)に示したTEモードおよび図3(b)TMモードのELスペクトルはいずれもマイクロ構造を導入することで変化している。

特に(b)に示したTMモードのELスペクトル変化が表面プラズモン由来の変化であり、 表面プラズモンモードが主な成分(図中SPP/TM0)と、TMモードが主な成分(図中TM0/SPP)の2成分が観測されていると考えられる。




上記のスペクトル測定結果からの算出結果によれば、表面プラズモンモードとして損失しているエネルギーの取り出しによって、デバイスの効率が40%以下程度向上する。

本研究ではマイクロ構造を付加することにより表面プラズモンモードを取り出せることを示した。


文献情報,参考文献

[1]A.Hobson,Stephen Wedge,JonA.E.Wasey,Ian Sage,and William L.Barnes.Adv.Mater.2002,14,No.19

[2]G.Ford,W.Weber,Phys. Rep. 1984,113,195

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