サブ波長構造を用いた透過カラーフィルタ

出典: BeansCM

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目次

項目の説明 【必須】

入射光の波長以下の周期構造を持つグレーティングでは,回折限界を超えた異常透過現象を示すことが知られている.そのため,金属薄膜を用いたプラズモン光学フィルタ[1]なども提案されているが,金属薄膜は吸収が大きいため透過強度特性が悪い.そこで,誘電体を用いたサブ波長グレーティングの研究が盛んにおこなわれている.ガラス基板表面に微細加工を施すことによって,カラーフィルタの役割を果たすものや,ガラス状にピラミッド構造を形成し,反射防止構造とするものなどさまざまなものがある.本研究では,ガラス基板上にシリコンの微細周期構造を作製し,赤,緑,青の3原色を抽出するカラーフィルタの作製をおこなったものであり,ガラス基板上に作製することで透過強度を高くすることが可能になり,また、MEMSによる微細加工のため,CCD撮像器の前段のカラーフィルタなどに応用が可能である.格子構造がサブ波長の領域では,入射したある特定の波長(共鳴波長)は周期構造と強く結合し,透過波が発生する.従って狭帯域透過フィルタとして機能する.すなわち,ピッチΛ,格子幅aをRGBの波長がそれぞれ透過するように設計すればカラーフィルタとして利用することが出来る.この条件を満たすサブ波長構造をGuided Mode Resonance Grating (GMRG)と呼ぶ.

設計

800um厚の石英基板上に厚さ100nmの単結晶シリコンがある(SOQ: silicon on quartz)基板を利用する.波長以下の周期構造を作製し,周期がGMRと一致するように設計を行うと0次回折光が透過光として出てくる.グレーティング周期は厳密結合波解析法を用いてTEモードとTMモードの両モードについて計算をしている.石英基板と単結晶シリコンの材料定数は厳密結合波解析法で用いたソフトウェアにあるモデルを参照している.

作製方法

SOQ基板に電子線レジストZEP520 ZEON. Co.を塗布し、電子線描画装置を用いてパターンを形成する.電子線レジストをマスクにSF6ガスでエッチングをおこなう.最後にH2SO4:H2O2=1:1で洗浄を行い,電子線レジストを除去する.作製したカラーフィルタの構造は図の通りで,周期Λ,シリコンパターンaとすると赤色(Λ=400 nm, a=279 nm), (緑色(Λ=350 nm, a=279 nm), 青色(Λ=440 nm, a=177 nm)のフィルタ特性が確認できている.

特性・性能・評価

透過率は波長によって異なり,赤(597.4nm),青(545.4nm),緑(440.9nm)で71.1%,58.1%, 59.3%を60~80%程度が得られている.厳密結合波解析法での透過率は赤(597nm),青(544nm),緑(440nm)で73.4%,63.7%, 59.0%であるため、非常にシミュレーション結果と実測値が一致していることがわかる.この手法を用いることで,マイクロチップカラーフィルタなどを作製することが可能になる.

文献情報,参考文献

Y. Kanamori, M. Shimono, and K. Hane, “Fabrication of transmission color filters using silicon subwavelength gratings on quartz substrate,” IEEE Photonics Technology Letter 18 (20), pp. 2126-218, 2006.

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