圧電性薄膜の高均質化

出典: BeansCM

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安心安全快適デバイス 安全安心センシング センシング対象 力学量
安心安全快適デバイス 安全安心センシング 応用 見守りセンサ(介護等)
安心安全快適デバイス 研究対象 デバイス
プロセス・インテグレーション プロセス 付着・表面修飾 塗布
プロセス・インテグレーション 精度・形状+寸法 膜厚 1μm〜10μm
プロセス・インテグレーション 材料 無機 その他


目次

項目の説明 【必須】

近年、量産の目的からウエハサイズの大口径化が進んでおり、ウエハ上に均質な圧電性薄膜を作製するのが困難になってきている。しかし、MEMSの分野では、高均質で特性の良い薄膜が要求される。そこで、本研究では、成膜過程におけるパラメータの最適化を行うことで、代表的な圧電性薄膜であるPZTの塗布成膜技術の信頼性の向上を目指す。

はじめに

 近年、量産やコスト削減の目的から、多くのチップが切り出せる、大口径のシリコンウエハが用いられるようになってきている。しかし、このウエハサイズの大口径化に伴い、ウエハ上に、クラックや特性のばらつきの少ない、均質な圧電性薄膜を形成するのが、以前に比べ非常に困難になってきている。一方、MEMSにおいては、高均質で特性の良い薄膜が要求されるため、大口径のウエハにおいても、均質な膜を形成することが重要となる。そこで、本研究では、代表的な圧電性薄膜であり、圧電素子や強誘電体メモリに利用されているPZTを、優れた特性で高均質に成膜することを目指す[1]。そのために、成膜におけるプロセスパラメータの最適化を行う。

測定手法と結果

 PZTの成膜方法はいくつかあるが、本研究では代表的なMOD法を用いて成膜した。MOD法は、溶液塗布法の一種で、PZT溶液を基板上に塗布し、スピンコートした後、RTAで高温処理することで結晶化させる方法である。スピンコーターの回転数は最大で2500rpm、RTAの加熱温度はおよそ700℃で行った。今回は、20㎜角のPt/Ti/SiO2/Si基板上に、このプロセスを10回繰り返し、厚さ2㎛程度のPZT薄膜を作製した。その後、エッチングを施し下部電極を露出させるとともに、簡易スパッタ装置で上部電極を作製した。 このMOD法は、真空プロセスを必要としない等の利点がある一方、プロセスに多くのパラメータが存在し、最適化を行うのが困難である。そこで、特にウエハレベルの均質化を目指すため、実験計画法という統計的手法を用い、特性に最も影響を与えるパラメータを特定した[2]。パラメータとして、アニールプロセスにおける温度、昇温速度、PZT溶液の濃度、特性として、XRD解析のピークにおける半値幅、比誘電率を調べた。表1と2に、各パラメータの水準と行った実験の水準の組み合わせを示す。

図1.実験の模式図
表1.各パラメータの水準
表2.水準の組み合わせ



























プロセスパラメータの最適化

 表2の組み合わせで行った実験の結果を、表3に示す。また、この結果をもとに分散分析を行った結果を表4と表5に示す。ここで、S、f、Vはそれぞれ2乗和、自由度、不偏分散を表し、Fは誤差の分散と各要因の分散の比を示している。

表3.実験結果
表4.半値幅の分散分析表
表5 比誘電率の分散分析表


 分散分析の結果をみると、比誘電率の要因の中の温度のF値が最も大きいことが分かる。これは、危険率5%のF分布表の値161よりも大きいため、温度の水準の違いによる比誘電率の差は95%の確率で有意であると言える。一方、半値幅についてはあまり有意な要因は存在しないことが分かる。また、各水準の効果を調べ、パラメータの最適化を行ったところ、半値幅では、700℃、400℃/min、10%、比誘電率では、700℃、100℃/min、10%が最適値であることが分かった。

文献情報,参考文献

[1] S. Xiong, H. Kawada, H. Yamanaka, T. Matsushima, “Piezoelectric properties of PZT films prepared by the sol-gel method and their application in MEMS”, Thin Solid Films 516, p5309-5312, 2008.
[2] M. Akiyama, Chao-Nan Xu, K. Nonaka, K. Shobu, T. Watanabe, “Statistical approach for optimizing sputtering conditions of highly oriented aluminum nitride thin films”, Thin Solid Films 315, p62-65, 1998.

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