ガスセンサーの分子捕獲プローブとしてのペプチド分子の利用

出典: BeansCM

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健康医療応用デバイス 応用分野 検査診断
健康医療応用デバイス 大きさ 分子
健康医療応用デバイス 原理 その他
環境応用デバイス 環境センシング 分析対象 空気
環境応用デバイス 環境センシング 分析項目 無機ガス


目次

項目の説明 【必須】

 分子捕獲センサーでは、センサー基板表面で特定物質を捕獲できる表面構造をデザインする必要がある。抗体分子に代表されるタンパク質は、現在でも最も幅広く、分子種を区別して特定種だけに結合できる機能を設計できる分子であり、目的機能を持ったタンパク質をセンサー基板に固定化することによってセンサー基板表面を機能化させているものは多い。しかし、タンパク質を用いるセンサーで留意することは、他の分子と比較し構造が不安定で中性領域の水溶液中でのみ使用可能であることである。血液などを検査するセンサーでは、主に液中に存在する特定分子を検出するため問題ないが、大気中のガス、ダイオキシンなどの有害分子、ウィルスなどを検出するには気相中で特定分子を捕獲できる分子の開発が重要である。 そこで、Wuらはヒトの嗅覚器官に存在する受容体タンパク質に注目した。まず彼らは、ヒト嗅覚受容体タンパク質(P30953)の立体構造をシュミレーションし、トリメチルアミン、アンモニア、酢酸、キシレン分子が結合可能な部位を特定し、その部位の7-12残基からなるポリペプチドを有機合成した。そして、それらペプチドを各々PZ電極へ固定化し、トリメチルアミン、アンモニア、酢酸、キシレンの気体分子の検出を行ったところ、比較的高感度で検出することができた。

製法

ヒト嗅覚受容体タンパク質(P30953)の立体構造をシュミレーションし、トリメチルアミン、アンモニア、酢酸、キシレン分子が結合可能な部位を特定し、その部位の7-12残基からなるポリペプチドを有機合成した。

測定手法(装置、試験片)と結果

図1は、トリメチルアミンに結合可能なペプチド候補をPZ電極に固定化してトリメチルアミン(TMA), アンモニア, 水, 酢酸エチル, メタノール気体分子に対する応答を見た所、アンモニアに若干応答するものの、TMAに対して優先的に大きく応答していることが分かる。

図1.トリメチルアミンに結合可能なペプチド候補をPZ電極に固定化したガスセンサー応答

文献情報,参考文献

T.-Z. Wu, Y.-R. Lo, E.-C. Chan, "Exploring the recognized bio-mimicry materials for gas sensing" Biosensors & Bioelectronics 16 (2001) 945–953

コメント

ペプチド分子は、構造の構成要素はタンパク質と同じだが分子量が小さいため乾燥による構造変化の影響が少ない。現代のところ、気体分子捕獲ペプチドの作成には、嗅覚受容体タンパク質などすでに気体分子と結合できるとわかっているタンパク質を網羅的に断片化・検証するか、コンピュータシュミレーションで候補断片を特定するか、の方法しかないため、今後いかにして気体分子に結合するペプチドを素早く見つけるかは課題がある。しかし、この論文で気相センサーでもペプチド分子を用いることによって液相並みの感度を達成できる可能性が示されたと言える。

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