オールポリマー圧電フィルム

出典: BeansCM

事例中の図を表示させるためにはログインして下さい。

←この記事が参考になった方はボタンを押して投票して下さい。

環境応用デバイス マイクロエネルギー 環境発電 振動
プロセス・インテグレーション プロセス 付着・表面修飾 塗布
プロセス・インテグレーション 精度・形状+寸法 加工面積 1cm〜10cm
プロセス・インテグレーション 精度・形状+寸法 膜厚 10μm〜100μm
プロセス・インテグレーション 材料 有機 その他
機能・製作用要素 機能要素 アクチュエータ・トランスデューサ要素 発電要素


目次

項目の説明 【必須】

近年、マイクロセンサ及びこれを含むネットワークシステムを動作させるためにエネルギーを発生・供給するデバイスの研究は盛んである[1],[2]。 本件では、PET基材、PEDOT:PSS、PVDFの積層構造から成り、高い柔軟性を持つオールポリマー圧電フィルムを作成した。 150℃を超えるプロセスでPET基材に変形が生じる問題を解決するために、沸点が79,5℃と低いMEKを溶媒として用いるPVDF層形成プロセスを考案し、この方法で素子を試作した。 この結果、従来のシリコン等の基材を用いた素子よりも低い共振周波数(長さ20mm、幅10mm、厚さ100μmで54Hz)を示す圧電フィルムを実現した。

構造

PET基材、PEDOT:PSS電極膜、PVDF膜の積層構造から成る(fig.1)。

fig.2のように、PVDF層にかかる張力を考えると基材は厚く柔軟なほど良い。 また、既存のシリコンなどを基材として用いた圧電素子では共振周波数が数kHzであり[3]、人の動作などを源とするには高いため効率的なエネルギーの発生が難しい。 基材として柔軟なPETを用いることで、これらの点に改善が望める。

PEDOT:PSS層は基材上に水溶液を塗布、乾燥させて得た。 PVDF層の形成にも溶剤の塗布・乾燥を用いた。しかし、PET基材の耐熱性(~150°)のために溶媒としてジメチルホルムアミド(沸点153℃)やN-メチルピロリドン(沸点202℃)を使用することは難しく、この問題を解決するため、低い沸点とPVDFの高い溶解性をあわせ持つメチルエチルケトン(MEK,沸点79.5℃)を溶媒とした。MEKのPVDF溶解特性をfig.3に示す。


塗布後のPVDFに対するアニーリングでは、基材の耐え得る最高の温度である150℃で行ったとき最も結晶化進む結果となった(fig.4)。 また、各温度でアニールしたサンプルに対する100V/μmの分極処理の結果、150℃でアニールしたサンプルにおいて最も顕著な残留分極が見られた。

特性・性能・評価

150℃以下の低温プロセスのみで圧電フィルムの形成に成功した。fig.5に作成したサンプルの概観と発電試験の結果を示す。フィルムに曲げを加えることで2V程度の電位を得た。 試作サンプル(長さ20mm、幅10mm、厚さ100μm) での共振周波数は54Hzであり、柔軟なPET基材による共振周波数の低下が確認できた。

文献情報,参考文献

[1] J. A. Paradiso, T. Starner, “Energy scavenging for mobile and wireless electronics,” Pervasive computing, pp. 18-27, 2005.

[2] M. Renaud, P. Fiorini, R. Schaijk, C. Hoof, “Harvesting energy from the motinon of human limbs: the design and analysis of an impact based piezoelectric generator,” Smart Materials and Structures, vol. 18, 235001, 2009.

[3] H. Fang, J. Liu, Z. Xu, L. Dong, L. Wang, D. Chen, B. Cai, Y. Liu, “Fabrication and performance of MEMS-based piezoelectric power generator for vibration energy harvesting,” Microelectronics Journal, vol. 37, pp. 1280-1284, 2006.


コメント

←この記事が参考になった方はボタンを押して投票して下さい。